「年間120万円まで非課税」少額投資非課税制度(NISA)とは

2014年1月からはじまった少額投資非課税制度(NISA)は、導入されてから数年が経過しました。この間、通常のNISAの非課税枠が100万円から120万円へ増額、ジュニアNISAの開始、そして、2018年1月からは「つみたてNISA」が始まります。

少額投資ができるとして注目を集めるNISAも3種類に分かれると、どのような意味なのか分からないと思う人もいるかもしれません。そこで、2014年開始当初から存在しているNISAについてもう一度おさらいしてみましょう。

そもそも少額投資非課税制度とは?

少額投資非課税制度とは、日本版ISAとも呼ばれ、イギリスのISA(Individual Savings Account)を手本にスタートした制度です。実は、イギリスでは国民の4割がISAを利用し、将来に向けた資産形成を行っています。日本でも、投資人口を増やしたいという思いから、NIPPONのNを加えてNISAと名づけられたと言われています。また、2014年1月から始まった通常のNISAを前述の他のNISAと区別するために一般NISAと呼ぶこともあります(以下、一般NISA)。

日本は少子高齢化社会、歴史的な超低金利時代と言われており、年金だけでは老後の生活費を賄えない可能性があり、自分で資産形成をすることが求められます。しかし、日本はずっとデフレの状況下にあったことや、従前は預金金利が高かったため、株式や投資信託などの投資は怖いもの、損するものというマイナスイメージが先行しています。

そこで、政府や金融機関が主体となり、投資は正しく理解すれば怖いものではないことを啓蒙したり、少額からでも投資ができる少額投資非課税制度(NISA)の普及に努めているのです。

その啓蒙活動のおかげもあり、金融庁が発表した「一般NISA・ジュニアNISA口座の開設・利用状況調査」によれば、平成29年(2017年)6月末時点で、一般NISAは1,090万口を超えています。ちなみに、ジュニアNISAは約22.6万口です。また、一般NISA口座での買付額(平成26~29年〈2014~2017年〉までの買付合計金額)は11兆円を突破、ジュニアNISAでは、同480億円を超えています。

2018年からは、つみたてNISAが始まることから、さらに、利用者が増えていくことが予想されます。NISAは着実に浸透しているといってもよいでしょう。

気になる少額投資非課税制度(NISA)の仕組みとは?

一般NISAは日本国内に居住している人が口座を開設できます。ただし、一般NISA口座を開設する年の1月1日現在20歳の誕生日を迎えている人が対象です。NISAは1人1口座と決まっており、A証券とB証券に1口座ずつ開設することはできません。一般NISAにはどのような特徴があるのでしょうか。

●特徴その1 譲渡益(売却益)、配当金・分配金が非課税になる
一般NISAでは譲渡益(売却益)や配当金、分配金等が非課税になります。通常、株式や投資信託等を買付けし、譲渡益(売却益)が出れば課税対象となります。また、株式の配当金や投資信託等の分配金も課税対象となり、いずれも20%(復興増税含め、20.315%)の税金がかかります。それが、一般NISAであれば、最長で5年間非課税になるのです。

例:100万円の投資をして、10万円の利益(譲渡益)がでた場合、
通常の税金=10万円×20.315%(所得税、住民税および復興増税)=2万315円

上記の例の場合、利益が10万円だったとしても、そのうちの2万315円が課税対象となり、利益から差し引かれることになるため、手元に残る利益は7万9,685円になります。それが、一般NISAで売却すれば丸々10万円が手元に戻ってくることになります。

ちなみに、一般NISA口座内で買付けした株式等(上場株式、ETF、REITなど)の配当金や分配金を非課税にする場合は、金融機関で配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」を選択する必要があるので、注意しましょう。また、外国株式の配当金等は対象外です。投資信託の分配金のうち、元本払戻金(特別分配金)はもともと非課税のため、少額投資非課税制度の恩恵を受けません。

また、一般NISA口座内で保有している金融商品を売却して損失が出たとしても、他の金融商品の利益と相殺することができません。評価損を抱えたとしても、長い目で見て評価益になると考えるのであれば保有し続けることも一案です。

●特徴その2 非課税期間は5年間。1年間に120万円まで投資ができる
NISAの非課税期間は、NISA口座内で買付けをした年を含めて5年間です。毎年120万円の枠ができるため、5年間で最大600万円の非課税投資枠があるということです。5年間の非課税期間が終わった時に一般NISA口座で株式や投資信託を保有しており、続けて非課税で保有し続けたいと思うなら、翌年設定される非課税投資枠にロールオーバー(繰り越し)することが可能です。

ちなみに、120万円の枠を1年間で使いきれなかったとしても、翌年以降に繰り越すことはできません。また、一般NISA口座内で買付けした資産を売却したとしても、120万円の枠が復活するわけではありません。例えば、株式を50万円購入し、今年の非課税投資枠が残り70万円あったとします。その50万円分を売却したとしても、120万円に枠が復活するわけではなく、残りの枠は70万円だということです。

●特徴その3 NISA口座で買付けができるのは、決められた金融商品のみ
一般NISA口座では買付けができる金融商品は決まっています。金融機関によって対象商品は異なるので、口座開設をする前には対象商品を確認しましょう。具体的には下記のようなものが挙げられます。

対象となる金融商品
国内株式(国内ETF、REIT)、外国株式(海外ETF、REIT)、ETN、新株予約権付社債(ワラント債)、株式投資信託

対象外の商品
非上場株式、預貯金、債券、公社債投資信託、MMF、MRF、eワラント、上場株価指数先物、FX(外国為替証拠金取引)、金・プラチナ等

少額投資非課税制度を利用し、中長期の資産運用を検討しましょう

これから一般NISAを検討する人は、上記のことを理解したうえで、どこの金融機関に一般NISA口座開設を行い、どのような金融商品をいくら買付けするのかを慎重に検討しましょう。投資自体は中長期的に資産を殖やす方法として有用です。一方で、期待するものが高ければ高いほどその変動は大きくなります。リスクのバランスを考えて投資をすることが大切です。