投資信託の分配金を知ろう

投資信託において、決算後に、分配可能原資とよばれる資金の中から支払われる分配金という金銭があります。この分配金は、税金が掛かるか掛からないかで、「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類に分けられます。本稿では投資信託を始めるにあたって知っておきたい分配金の考え方、自分に合った投資信託の選び方を紹介します。

普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の違いとは

普通分配金とは、分配落ち金後の基準価額(決算日に分配金が差し引かれた後の基準価額)が個別元本を上回るか、または同額の場合に支払われる分配金です。普通分配金は投資信託から得た収益を受け取ることとなるため、所得税および住民税の課税対象になります。運用がうまく進んでいて基準価額が上昇している場合には、普通分配金の割合が高くなります。

元本払戻金(特別分配金)とは、分配落ち金後の基準価額が個別元本を下回る場合の元本払戻し部分に相当する分配金です。元本を払戻すだけなので、非課税扱いになっています。分配金がたくさん支払われる金融商品であっても元本払戻金の割合が高ければ、良い商品とは言い切れません。

分配金をいくら支払うのかは、あらかじめ決められた分配方針(投資信託の目論見書に掲載)に基づいて決定されています。市況が良くない状態であっても高分配を維持している投資信託もありますが、初心者に好まれる毎月分配型の投資信託は、決算を迎える度に投資信託の資産を取り崩して分配金を捻出している場合がありますので、注意が必要です。基準価額が著しく下がっている状態で高分配が続いている場合は、資産が取り崩されているかもしれません。あまりにも分配可能原資が減ってしまうと、当初考えていたような運用が難しくなるおそれがあります。

トータルリターンで運用成果をチェックする

初心者でもチェックしやすい指標としては、トータルリターンがあります。運用評価額(資産の現在価値)と分配金の合計金額を、投資した合計金額とで比較してみると、損益状況がわかります。分配金をたくさん受け取っていても基準価額が大きく値下がりしているケースもありますから、定期的なチェックが必要でしょう。

受け取った分配金だけをチェックして、保有している金融商品を放置していると、知らず知らずのうちに損をするおそれがあります。これから投資信託を購入する場合には、分配金再投資基準価額(修正基準価額)の推移を参考にしましょう。

分配金再投資基準価額とは、分配金を再投資すると基準価額がどのように変化するのかを予測した数値です。分配金が出る投資信託、出ない投資信託の比較もしやすいので、目的に応じたパフォーマンスを期待できるものを選ぶことも可能でしょう。運用成績が芳しくないにもかかわらず高分配を維持している商品は、結果的に減配や無配となるリスクがあるため、注意したいところです。「約束どおりの分配金を受け取ることはできるものの、その中身は元本払戻金ばかりが続いている」という事態にもなりかねません。

反対に分配金額が低くても、普通分配金の割合が高いと個別元本がある程度維持されるため、安心感があります。分配金の額だけで判断するのではなく、トータルリターンで成果を確認しましょう。

投信信託で後悔しない、金融商品選びのポイントは投資対象

投資信託の最終的な目的は、分配金を受け取ることではなく、収益が最大化する商品に資金を振り向けて、望ましい運用成果を目指すことです。分配金水準よりも先に、見るべきポイントは多いはずです。

国内外の債券や株式、不動産などあらゆる資産を対象にした投資信託がありますが、収益が得やすいものは市場の動きによって変わっていきます。初心者にとっては慣れるまでが大変ですが、経済情勢や市況動向に関するニュースを日常的にチェックして、資産価値の変動を見落とさないようにしましょう。

投資信託初心者は目的に合わせた分配方針の選択を

投資信託を選ぶ上で分配金が出る商品と出ない商品、どちらが良い商品なのかを考えるには、運用状況や投資目的などを含めて判断することが大切です。長期的に資産を殖やすのが目的なら分配金は不要かもしれませんが、現状の収入拡大が目的なら分配金を受け取りたいと考えるでしょう。

投資信託の目論見書に記載してある分配方針や分配実績を参考にし、過去の分配金の支払いを確認しておくとよいでしょう。