投資信託に年金も!?個人の資産運用はスマホでする時代

通信大手KDDIが人生100年時代を見据えて、顧客の資産形成をサポートする新事業を立ち上げました。パートナーとなるのは証券大手の大和証券です。同社の持つ資産運用ノウハウと、携帯電話事業で蓄積されたKDDIの膨大な顧客データを有効活用し、「貯蓄から資産形成へ」の流れを強力にサポートしようというものです。

大手銀行のフルバンク型店舗(個人・法人のあらゆる業務を担う総合店舗)が縮小へ向かうなか、スマホを利用した新しい資産形成の定着を目指す両社の戦略は功を奏するのでしょうか。ここでは、本格的に訪れる個人資産のスマホ運用時代の到来について考察します。

携帯御三家の競争激化が生んだ新事業

KDDIが新事業に進出する背景には、携帯電話加入者数の伸び悩みがあります。同社が発表した公式数字によると、2017年6月末における「au契約者数」と「MVNO契約数」の合計モバイルID数は2,603万で、前年比1.1%増とわずかな伸びにとどまっています。

KDDI(au)、NTTドコモ、ソフトバンクの携帯電話御三家による顧客の争奪戦は熾烈を極めています。しかし、近い将来楽天も携帯電話事業に進出することから、いずれは携帯電話四天王と呼ばれるようになるかもしれません。生き残りを賭けた競争はますます激化することが予想され、新事業の立ち上げは他社との差別化を図る戦略の一環と捉えることもできます。

顧客データから最善の個人資産運用方法を提案する

KDDIの強みは何といっても膨大な顧客データを保有していることでしょう。携帯電話の加入者データから顧客の属性を割り出すのは簡単なため、たとえば顧客の年齢が若ければiDeCo(個人型確定拠出年金)、顧客が高年収であれば投資信託をすすめるといった具合に、契約に結び付くアドバイスができます。

さらに、KDDIは「au WALLET」のカード事業でも顧客の使用履歴を把握しています。こちらでも顧客の趣味嗜好を分析することは容易なはずです。パートナーになる大和証券にとっても、契約時は同社への申し込みが誘導されることを考えると共同出資のメリットは大きいといえるでしょう。

KDDIと大和証券が新会社設立

今回、KDDIと大和証券が設立した新会社の社名は「KDDIアセットマネジメント」です。出資比率は、KDDIが66.6%、大和証券が33.4%となっています。KDDIの株主構成比率が2/3を占めることで、同社単独の社名になっているのでしょう。大和証券はサポート役に回るようです。

確定拠出年金の申し込みもできて便利

KDDIアセットマネジメントの新事業は顧客にとってもメリットがあります。iDeCoや投資信託の申し込みがスマートフォンアプリからの操作で手軽に手続き可能です。

特に、iDeCoは公的年金の受給だけでは暮らせないと考える方が、老後の備えとしてはじめる商品なので、スマホとは親和性が高いといえます。ある程度、場所の制約を受けるパソコンと違い、スマホでどこにいても申し込みができる利便性は大きなメリットです。

銀行の総合店舗縮小でスマホ運用時代到来へ

KDDIと大和証券にとって追い風になっているのが、メガバンク3行による総合店舗縮小の動きです。インターネットやATMの普及で、銀行の窓口を訪れる人は減少の一途をたどっており、顧客の銀行離れが進んでいます。最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループは516店舗(2017年11月時点)あるフルバンク(総合店舗)を、2023年までに100店舗までを目安にセルフ型(機械化)店舗に転換させる計画を発表しています。

いってみれば「ATMとテレビ電話で事足りる店舗にしよう」という話なので、相談することがないならスマホで十分と考える人が今後はふえるかもしれません。両社の勝算もそのあたりにあるのではないでしょうか。

なお、事業の正式なスタートは関係当局への登録完了後になることから、サービス内容の詳細は今後発表がある予定です。まずは正式な内容を見てから判断したいところです。

相談や申し込みは窓口のほうが安心というアナログ派の人もいるかもしれませんが、時代は確実にスマホへ移行しつつあります。少なくともauのスマホユーザーであれば、手慣れた操作環境で資産形成に関する情報収集や商品の申し込みができますから、一考の価値はありそうです。