少額投資でギャンブル依存症克服も 競走馬ファンドの効用

歌謡界の大御所、北島三郎氏の持ち馬であるキタサンブラックが、引退レースである2017年の有馬記念で優勝して大きな話題となりました。普段は競馬に興味がない人をも巻き込んで一種の社会現象にもなり、同馬の活躍を見て競走馬を持ってみたいと思った人もいるのではないでしょうか。

昔から馬主は金持ちの道楽と呼ばれてきましたが、実は「共同馬主」という仕組みを利用すれば、誰でも競走馬を持つことが可能です。そこでここでは、小口投資ファンドの中でも異彩を放つ、競走馬ファンドについて紹介します。

少額投資の競走馬ファンドは1969年代からあった

さまざまな分野で小口投資ファンドが募集を行っていますが、競走馬ファンドはその先駆けともいえる投資商品で、昭和40年代から存在していました。

仕組みはいたって簡単で、普通なら数百万、あるいは数千万円以上する競走馬をクラブが買い付け、500口や400口など小口に分けて会員に販売するシステムです。会員は口数に応じて毎月の諸経費を負担します。

昔は共同馬主の馬は大きなレースは勝てないと言われましたが、近年ではタップダンスシチーという馬がジャパンカップで優勝し、定説を覆しています。

馬券ではなく、愛馬の活躍を楽しむという考え方

競走馬ファンドのメリットの一つは、愛馬を持つことで馬券を当てるのとは違う、競馬の魅力を体験できることです。馬券の場合は、勝ち馬を当てることのみに集中し、はずれた場合の見返りは何もありません。その点、愛馬を持てば自ら出資してカイバ(えさ)代を毎月負担していることで愛着が湧き、出走しただけで喜びを感じることでしょう。

馬券の場合は複勝式でも3着までしか配当が出ませんが、愛馬が出走した場合は8着まで賞金が出るので、よほど弱い馬に当たらない限り、出資が無に帰することが少ないのも魅力です。

一頭持つときの資金はどれくらいかかるのか?

前述のタップダンスシチーを輩出した「友駿ホースクラブ愛馬会」を例にとって、競走馬を一頭持つ場合の費用を見てみましょう。

競走馬の出資代金は、各馬によって売り出し価格や募集口数が異なります。たとえば、1,800万円の馬を500口募集している場合は、1口あたり3万6,000円が出資時の金額になります。

毎月の費用としては、月会費が3,672円(税込)、厩舎(きゅうしゃ)への預託・カイバ代が1口あたり1,000~2,000円かかります。この他に保険料が年1回、1口あたり1,000~1,500円が徴収されるので、それなりの負担は必要です。

もっともクラブに通えば同じ程度の月会費がかかりますから、好きな人にとっては大きな負担に感じないかもしれません。

レースに優勝したときに入る配当はどれくらい?

趣味とはいえ、投資である以上気になるのがレースに優勝したときに入る配当の額です。特別レース(重賞ではない)に勝ったケースでは、総獲得賞金1,574万6,000円に対し、1口あたりの配当金は1万6,558円が分配されています。したがって、G1レースに優勝、あるいは口数が多い場合は、分配金も多くなります。

ただし、映画ファンドや音楽ファンドと同様に趣味の世界なので、大きなリターンは期待しないほうがいいでしょう。ある程度の賞金を稼ぐまでに成長する競走馬は少数で、ましてや有名な大レースを勝つ事例はごく稀です。

愛馬を持つとギャンブル依存症も克服できる!?

競馬に限った話ではありませんが、社会的に問題になっているのがギャンブル依存症です。政府が成立を目指している「カジノ法案」の足かせになっている要因の一つとして、ギャンブル依存症につながるのではないかという不安の声があります。

ギャンブル依存症は、重症になると生活の破綻にもつながります。そこまではいかなくても、競馬場に行って最終レースで所持金を使い果たし、うなだれて家路についた経験をお持ちの人も少なからずいるでしょう。

愛馬を持てば、今まで馬券に費やしていたお金も愛馬への費用に振り分けるようになり、単なるギャンブルとしての競馬生活から脱出できる可能性があります。万人向けの投資ではないものの、愛馬を持つことでギャンブル依存症を克服するきっかけになれば、有意義な投資商品といえるでしょう。