富裕層向け投資信託として話題の「ファンドラップ」とは何か

リスクとリターンが比例するのは資産運用の大原則です。投資額が多ければ利益だけでなく損失も大きくなります。少額の投資ならせいぜい数万~数十万円程の損失で済むかもしれませんが、億単位で投資する富裕層は失敗すれば損失もかなりの額となるでしょう。そこで本稿では、資産運用のポートフォリオを金融機関に一任し、リスクを減らす「ファンドラップ」のメリット・デメリットについて解説します。

投資にリスクヘッジは必須

元本保証の金融商品と違い、投資にはリスクがつきものです。投資家はさまざまな方法を駆使してリスクの低減を図りますが、これをリスクヘッジといいます。機関投資家は運用する金額が巨額なため、常にリスクヘッジの方法を研究し、実践しているのです。

そう考えると、個人で実践するリスクヘッジには限界があるため、投資のプロである証券会社に運用を任せるのが一番効率よくリスクヘッジできるという理論も成り立ちます。その考え方を商品化したのが「ファンドラップ」です。

富裕層に特化したファンドラップとは何か

ファンドラップ(ラップ口座)とは、投資家が証券会社と投資一任契約を結び、運用・管理を証券会社に任せる取引サービスです。あらかじめ証券会社が投資家からヒアリングを行い、意向に沿った運用を目指します。これは投資家によってリスク許容度が違うためです。預かり資産の基準が高いことから富裕層に特化した金融商品といえます。

ファンドラップは300万円から運用が可能

ファンドラップはどのくらいの資金からはじめられるのでしょうか。かつてはラップ口座で数千万円の預かり資産が一般的でしたが、その少額版であるファンドラップでは対面営業の証券会社の場合300万円から申し込み可能となっています。しかし、300万円という金額も簡単に用意できる資金ではありません。

ファンドラップの手数料計算は少し複雑です。2018年4月時点で証券会社最大手の野村證券の例では、「固定報酬制」「実質報酬併用制」の2コースに分かれています。固定報酬制では運用資産の最大0.4104%(税込)、実質報酬併用制では最大0.2052%(税込)+運用益積み上げ額の10.8%(税込)です。どちらが安いかは運用成績によって変化するため、見極めが難しいといえます。

このほかに、投資信託を基本扱いますので信託報酬や信託財産留保額が加算されます。次にファンドラップのメリット・デメリットについても確認しておきましょう。

ファンドラップのメリット

まず、ファンドラップのメリットは運用利回りの高さです。みずほ証券の2017年のファンドラップ投資項目別のトップは、新興国株式で33.0%という極めて高い利回りを記録しています。2位が日本株式の22.2%なので、個人ではなかなかあげられない運用利回りを達成しているのがわかります。また、あらかじめヒアリングがありますので、自分の投資方針に沿って運用してくれるのもメリットです。

そして、一度契約すれば自動で運用してくれるので、主婦やサラリーマンといった投資に時間を割けない方にも適している商品といえます。

ファンドラップのデメリット

一方、デメリットの筆頭は元本保証ではない点です。上述したみずほ証券ではほとんどの年度で黒字を確保していますが、さすがにリーマンショックがあった2008年は大幅なマイナス運用になりました。リスクの少ない運用を心掛けているとはいっても、突発的な金融危機などが起これば損失を避けられないのが実情です。しかし、比率からいえばそのようなケースは非常にまれなので、過度に不安になる必要はないでしょう。

投資信託を多く扱いますので、諸経費が高いこともデメリットといえます。ただ、極めて高い運用益を得られることを思えば、多少の経費の高さは許容範囲と考えたほうが賢明です。

以上、ファンドラップの概要を見てきましたが、「少額投資の自分には関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、はじめは少額でも投資が軌道に乗ってくると、次第に運用規模は大きくなっていくものです。その時ポートフォリオの一部として有益なのがファンドラップです。ファンドラップの内容を押さえて、投資の視野を広げていきましょう。