海外の不動産投資型クラウドファンディングで注意すべきポイントとは?

昔は不動産投資といえば、自分で物件を直接購入したうえで、ずっと保有し続けて家賃収入を得るか、あるいは値上がりしたタイミングで転売するといった手段しか選べませんでした。当然ながら、そのためにはかなりのまとまった資金が必要になります。

やがて、REIT(不動産投資信託)という金融商品が登場し、より少額の資金でも分配金(投資信託に組み入れた物件から得られる家賃収入の還元)を期待できるようになりました。ただ、REITの時価は日々変動しており、売買のタイミングを誤れば手にした分配金を不意にしてしまうような損失が発生するおそれもあります。

その点、さらに気軽なスタンスで投資できるのが「不動産投資型クラウドファンディング」だといえます。1万円程度から投資でき、投資期間も数か月~1年間といった短期のものが主流であることから、日本でも急速に普及しつつあります。

海外の「不動産投資型クラウドファンディング」はさらに先行しており、日本以上に人気のある不動産投資の手段となっています。日本国内よりも高い利回りのものが目立ちますが、そこにはデメリットや注視すべきポイントはあるのでしょうか。

海外の不動産は日本よりも高利回りを期待できる

クラウドファンディングというスキームだけに限らず、概して海外における不動産投資では日本よりも高い利回り収益を期待できます。なぜなら、日本と比べて貸出金利が高い水準にあるのに加えて、割安な価格で物件を買い入れることが可能だからです。

日本でも地方にまで目を向ければ、割安な物件を見つけられます。しかしながら、安定的な賃貸需要を見込めないケースも多く、期待どおりの家賃収入を得られないおそれもあります。その点、先進国でありながら人口がふえ続けている米国や経済発展が著しい新興国など、海外には高い利回りと賃貸需要を期待できる国々・地域が少なくありません。

だとすれば、「不動産投資型クラウドファンディングは海外の物件を組み入れているものを選ぶのがベスト」という結論に達しそうですが、それは少々早計でしょう。確かに、海外のものは利回り面だけに目を向ければ非常に魅力的なのですが、特有のリスクも関わってくるのです。

「為替変動リスク」「カントリーリスク」に注意

では、海外の不動産投資型クラウドファンディングへの投資を検討するうえで留意すべきリスクとしては、いったいどのようなことが挙げられるのでしょうか。まず、最も注意すべきは「為替変動リスク」です。

海外の不動産に資金を投じるわけですから、投資家から集めた資金は現地の通貨に交換されることになります。そして、組み入れた物件で得られる家賃収入は当然のごとく現地通貨建てであり、それを日本国内の投資家に分配する際には円に戻す必要が生じます。

為替相場は常に変動しており、その動き次第では円から外貨、外貨から円に交換するタイミングで為替差損が発生するおそれがあります。為替ヘッジというスキームを用いて為替変動の影響を軽減しているファンドもありますが、そのためには相応のコストがかかり、こうした負担は利回りを低下させることになります。

また、これは為替相場にも影響を及ぼしうるものですが、個々の国々・地域特有の「カントリーリスク」も意識しておくのが賢明でしょう。カントリーリスクとは、投資先の国々・地域の政治経済に大きな変化が生じ、それが金融市場や不動産市場にも少なからぬ影響を及ぼすことです。極例を挙げれば、2018年2月までの1年間で6147%ものハイパーインフレ(物価急上昇)に見舞われているベネズエラでは、同国通貨が暴落の一途を辿っています。

海外への投資は国内投資の補完として考える

国内だけにとどまらず、海外にも視野を広げることは国際分散投資という観点からも有効なのですが、単に利回りだけに目を奪われず、特有のリスクもきちんと念頭に置くことが重要です。そのうえで、海外への投資比率を極端に高くせず、あくまで国内での投資を補完するかたちに留めておくのが良いでしょう。