仮想通貨の仕組みを解説。円やドルと何が違う?

幾多の「億り人」を生み出したとして注目されている仮想通貨。代表的な銘柄をいくつか挙げられる人は多いかもしれませんが、仕組みや作られた背景を理解している人は少ないのではないでしょうか。21世紀に現れたこのデジタル資産は、投資の対象として充分検討に値するはずです。本稿では、仮想通貨の簡単な仕組みや、IT技術を活用した新たな資産運用の可能性について取り上げます。

仮想通貨のコンセプトは「分散型」

仮想通貨の最大の特徴は、特定の管理者がいないことです。日本円は日本政府、アメリカドルはアメリカ合衆国政府がその価値を支えることによって、信頼できる「お金」として世の中に流通しています。これらの法定通貨はいわば中央集権型です。政府の一存で突然使えなくなったり、信用の低下によって価値がなくなったりすることもあり得ます。

例えば、ジンバブエでは2008年の大統領選の混乱をきっかけにハイパーインフレが起こり、法定通貨だったジンバブエ・ドルの流通はその翌年、停止してしまいました。また、2016年にインド政府が突如として高額紙幣の廃止を宣言したのは記憶に新しいのではないでしょうか。

仮想通貨の運用に用いられているP2Pというシステムは、このような中央集権型社会のリスクやデメリットを排除しようという動きの一つです。特定の人や一つの団体が管理するのではなく、世界中にわたる不特定多数の人々が取引に関わる「分散型社会」を目指しています。

ブロックチェーンの仕組み

20世紀の終わりには、すでに分散型の通貨に近いコンセプトが提唱されていましたが、技術的な難しさによって実現できていませんでした。なぜなら、特定の管理者を置くことなく、改ざんやコピーなどの不正な操作がないことを証明する仕組みがなかったからです。

これを解決したのが、仮想通貨の元祖であるビットコインが生まれるきっかけになった、ある文書でした。2008年に「P2P電子現金システム」というタイトルの論文が提案した仕組みはブロックチェーンと呼ばれ、仮想通貨の中核的なシステムとして位置づけられています。

簡単にビットコインにおけるブロックチェーンの仕組みを説明します。AさんからBさんに送金する時、何時何分に誰から誰にいくら送ったというデータが作られます。このデータは暗号化されており、第三者のCさん(Dさん、Eさん、あるいは世界中のどこかにいる誰か)が一定の計算方式に従って解くことで、ビットコインの所有権がAさんからBさんのもとに移ったということを証明するのです。

この暗号解読は10分ごとに検証されて追加され、一列の鎖のようなデータができます。ブロックチェーンと呼ばれるのはそのためです。ブロックチェーンは長ければ長いほど信頼性が高まります。なぜなら、より多くの第三者が証明していることになるからです。

また、この時系列につながったデータは暗号技術によって一部が改ざんされるとほかの部分にも影響を及ぼすため、過去を書き換えることは事実上できません。ブロックチェーンは、暗号技術と世界中にいる第三者による証明、それが重ねて検証され続けることによって、特定の管理者を置くことなく取引の正当性を証明する仕組みなのです。

誰もが参加できるマイニング

このブロックチェーンの正当性を証明する第三者は、ボランティアでやっているわけではありません。暗号を解読して取引を承認するごとに、一定のビットコインが与えられることになっています。報酬の仕組みは仮想通貨の種類によって異なりますが、多くの場合「マイニング」と呼ばれます。金や石炭を採掘することになぞらえているわけです。

マイニングは、パソコンとインターネット環境さえあれば誰でも参加することができます。保有による値上がり益だけではなく、さまざまな収益のあり方があるのも仮想通貨の面白さと言えるのではないでしょうか。

本稿では、ビットコインにおけるブロックチェーンの仕組みを中心に解説しましたが、2,000種類以上あると言われる仮想通貨にはそれぞれ違った特徴があります。興味がある人は、イーサリアムやリップルなどほかの主要銘柄や、新規仮想通貨を提供するために行われるICO(Initial Coin Offering、新規仮想通貨公開)なども調べてみてはどうでしょうか。

仮想通貨は「お金の常識」をくつがえすもの

仮想通貨の特徴は、円やドルなどの法定通貨が持つ中央集権性を排除するという考え方が取り入れられていることです。その「分散型」という思想を具体的に可能にしているのが、誰でも取引承認者になれるブロックチェーンという仕組みです。マイニングというほかの資産運用にはないような珍しい収益の上げ方も大きな特徴といえます。IT技術が生み出した新しい世の中の仕組みであり、同時に資産運用の新たな可能性の一つでもあるのです。