地政学リスクは資産運用にどのような影響を与えるのか?

2018年前半に起こったイタリアの政情不安によってユーロ安が進み、為替市場や株式市場に影響を与えました。円高・ユーロ安は、欧州に輸出している企業にとっては為替リスクを被ることになり、業績にマイナスとなります。本稿では、このような地政学リスクが資産運用にどのような影響を与えるのかを考察します。果たして、海外要因に左右されない投資商品はあるのでしょうか。

イタリアの政情不安がもたらす欧州の混乱とは?

イタリアの政情不安は、欧州や世界の金融市場にどのような混乱をもたらしたのでしょうか。2018年3月に行われたイタリア総選挙では過半数を占める政党がなく、その後の連立交渉も次々に決裂したため、再選挙の可能性が出てきました。政治不安が長期化した場合に懸念される不安は2つあります。

1つ目は、ユーロ圏の債務危機です。イタリアは経済規模がユーロ圏3位の大国で、累積債務がすでに国内総生産の133%という巨額に達しています。この財政危機が国債の急落につながれば、ギリシャ危機をはるかにしのぐ打撃を欧州に与えることになります。

そして2つ目は、イタリアが英国に次いでユーロから離脱するという最悪のシナリオです。イタリアまで離脱すれば追随する国も出かねないため、ユーロの崩壊につながるリスクが高まります。再選挙の観測が高まった2018年5月29日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は391.64ドル安と急落しました。では、日本の市場にはどのような影響を与えるのでしょうか?

株式市場に与える影響

海外の地政学リスクがもたらす株式市場への影響は、輸出関連株に顕著にあらわれます。なぜなら、有事に強い円が買われ、為替相場が円高に振れるからです。そのため、円高ドル安になれば米国輸出比率の高い銘柄が、円高ユーロ安になれば欧州輸出比率の高い銘柄がそれぞれに売られます。

逆に、為替が円高に振れると買われるのが、ディフェンシブ銘柄と呼ばれることもある内需関連株です。小売り、外食、鉄道、金融、サービスなどは為替変動の影響を受けにくい業種と言えます。したがって、株式ポートフォリオは輸出関連株(自動車、電気、機械など)と、内需関連株をバランスよく組み合わせる必要があります。

為替市場に与える影響

一方、為替市場の変動でもっとも影響を受ける金融商品はFX(外国為替証拠金取引)でしょう。ユーロ/円やユーロ/ドルなどの組み合わせでユーロを買っていた投資家には、ユーロ安で評価損が発生します。今回のイタリア政情不安においても、130円台だったユーロ/円は124円台まで下落しました。2018年6月25日現在も1ユーロ127~128円と、130円台を回復できない相場が続いています。

株式市場の変動が為替市場に影響を与えることは稀ですが、為替市場の変動が株式市場に影響を与えることは頻繁に起こるのです。したがって、輸出関連株に投資するのであれば、為替市場の動向を読みながら売買する必要があります。もし、為替の動向を気にしたくないということであれば、株式やFX以外の商品を探すしかありません。

海外要因に影響されない「不動産投資型クラウドファンディング」

為替に左右されない投資商品として安全性が高いのが「不動産投資型クラウドファンディング」です。海外不動産を投資対象としている場合は、日本円を現地通貨に両替して投資するので為替リスクが発生します。その点、「不動産投資型クラウドファンディング」は原則として国内物件のみを対象としているため、為替リスクは発生しません。そこが株式との大きな違いです。

もちろん、国内不動産でも円高になると、海外からの流入資金が減る要因にはなりますが、「不動産投資型クラウドファンディング」は不特定多数の投資家から出資を募るので、その影響も極めて軽微です。

地政学リスクを考慮した分散投資が基本

金融市場のグローバル化で、今や地政学リスクの影響を受けない金融商品は少なくなりました。資産運用の基本は分散投資です。地政学リスクの影響を受けやすい株式だけでなく、「不動産投資型クラウドファンディング」にも資金を振り分けることによって、安全性の高い資産運用が可能になるのです。